828メートルという世界一の高さを誇るビル「ブルジュ・ハリファ」から見たドバイ市街地とドバイ運河。政府系不動産開発会社エマール社の建物が目立つ(撮影/編集部・長倉克枝)
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「アラビアン・トラベル・マーケット」の会場に展示されていた2020年ドバイ万博の会場のジオラマ。人だかりができていた(撮影/編集部・長倉克枝)
市街地から車で30分も走れば、あたり一面に砂漠が広がる。デザートサファリのツアーで、ラクダに乗る体験もできる(撮影/編集部・長倉克枝)

 2020年は東京にとっては五輪の年だが、ドバイにとっては中東で初開催となる万博の年だ。数十年で大きく姿を変えたドバイの変化のスピードは、衰えるどころか増している。

 かつては小さな漁村にすぎなかったドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の一つ。ここ数十年で中東最大のビジネス拠点へと変化を遂げた。2009年の「ドバイ・ショック」でその勢いは一度は失速したものの、20年の国際博覧会(万博)開催に向け、街中で建設ラッシュが続いている。日本政府も今年4月、正式参加を表明したばかりだ。
 毎日地図が描き換わる勢いで変貌を遂げるドバイを、4月下旬に訪ねた。

●世界最長の無人鉄道

 羽田国際空港から直行便で約11時間、中東最大のハブ空港であるドバイ国際空港に降り立った。この空港の年間旅客数は8300万人と、成田国際空港の2倍以上。早朝だというのに人、人、人で、建物の外はすでにムッとした暑さだった。

 4月でも、昼間の気温は体温ほどに上昇し、夏は50度にまでなる。外を歩いている人はほとんど見かけない。街の中心部には、超高層ビルや大型商業施設といった巨大な建物が立ち並び、人々は昼間のほとんどを、空調が利いたこうした建物の中で過ごし、移動にはもっぱら車を使うという。

「進化し続ける最先端都市」を感じさせるのは、09年に中心部に開業した「ドバイ・メトロ」だ。「世界最長の無人鉄道」としてギネス世界記録を持つ。道路沿いに高架の線路が敷かれ、ところどころに金色の流線形の屋根があるのが見える。これが駅のプラットホーム。デザインにこだわり、建設コストが2倍に膨らんだと言われているが、どこから見ても駅だとわかって利用者には便利だ。

 乗り降りには、「スイカ」のように事前にチャージする形式のカードを使う。運転手や車掌が乗らない無人車両のため、先頭でも車窓の景色を楽しめて、日本でいうと東京・新橋と豊洲を結ぶ新交通システム「ゆりかもめ」そっくりの乗り心地だ。

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