「これが会場ですか?」
「2020年が楽しみですね」
これから建設が始まるという広大な万博会場のジオラマを人々がぐるりと取り囲み、興味深そうにのぞき込んでいた。
●モールの中にスキー場
「市場を歩くと、その土地らしさを感じられる」とはある旅行ジャーナリストのことばだが、ドバイらしさを感じるには、巨大商業施設、つまりモールへ行くのがいいのかもしれない。
14年には年間8千万人が訪れたという前出のドバイ・モールのほか、エミレーツ・モールなど複数のモールがあり、巨大な建物の中に百貨店や家電量販店、スーパーマーケットの店舗や映画館などがすべて収まっている。スケートリンクやスキー場、水族館などまでモールの中にあり、飲食店も充実。毎週末家族で通いつめても飽きないだろう。
週末(ドバイでは金曜日と土曜日)にドバイ・モールとエミレーツ・モールを訪ねると、人にぶつからずに歩くのが難しいほどの人出。品ぞろえも充実していて、日本では売り切れが続いていたソニーのゲーム機「PS VR」も山積みされていた。大きな買い物袋を抱えて行き来する人々の姿に、旺盛な消費意欲を見せつけられた。
もう一つ驚いたのは、行きかう人々の人種や民族の多様性。アラブ人、欧米人、アジア人など、世界各地からやってきた人々がここで暮らしていることを実感させる出来事があった。
エミレーツ・モールで店舗の案内表示を見ていると、白い民族衣装を着たアラブ人男性に、
「スキー場に行きたいんだけれど、ここはどこ? どうやって行ったらいい?」
と訪ねられた。モール内にスキー場があることも驚きだったが、明らかに外国人の記者に、「地元の人」が道を尋ねてしまうほど、外国人に違和感がないのがドバイ。直前にスキー場を見に行ったので、無事、彼を案内できたということは付け加えておこう。
逆に、あまり見かけなかったのが高齢者だ。
モールでも街でも、見かけるのは働く世代や、子どもたち、ベビーカーを引く母親たちばかりだ。それもそのはず。ドバイの人口約240万人中、8割を占める外国人のほとんどは、仕事のためにここを訪れた働く世代だからだ。