2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。教育現場へのICT売り込みが過熱する一方、導入する側の学校関係者の心境は複雑だという――。
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「おおおお!」
超満員の会場で、ひときわ大きなどよめきと拍手が聞こえた。何かと思えばパナソニックグループが出展する「スポーツ向けICTソリューション」のブース。チアリーダーに扮したキャンペーンガール3人が、大型液晶画面の前で踊りながら、動画撮影システムを紹介するデモンストレーションの真っ最中だ。
ゲームショーかと見まがうばかりの熱気に包まれていたここは、5月中旬に東京ビッグサイトで開かれた「教育ITソリューションEXPO」の会場。学校や教育委員会、予備校などに向けて、デジタル教材や最新のIT機器などを売り込む見本市で、IT企業や教材会社など約800社もの企業が出展した。
●あらゆる設備がIT化
入場者数もすごい。「学校・教育関係者のみ」が入場できるピンポイントなイベントだというのに、3日間で3万人以上が来場した。そして何より驚いたのは、会場で売り込まれていた製品のバリエーションの多さだ。
「電子教科書」や「電子ノート」、無線LANなどネット関連設備はもちろん、先生を助けるテストの採点システムもあれば、学校放送をサポートする製品なんていうのもある。
ちなみに冒頭で紹介した、一見教育とは関係のなさそうなチアリーダーのデモンストレーションも、体育や部活などで、フォームの矯正などに活用できる最新の記録システム。要は学校にあるありとあらゆる道具や設備がスマート化して、スタンバイ完了。導入されるのを今か今かと待っている状態に見えた。