●何の根拠もないデマ

 そもそも、保健所が「医師法違反」「守秘義務違反」の疑いで医療機関に監査に入ることなどありえない。これまで香山さんはネット上で多くの侮辱的な言葉を浴びせられてきたが、今回は看過できないという。

「医師法に違反した医師という評判が拡散され定着していけば、医師としての社会的評価が下がることになります」

 香山さんの代理人、小倉秀夫弁護士は指摘する。

「チャンネル桜側は、香山さんが医師法に違反したとか、職場に保健所が監査に入ったと番組内で発言すれば、ネットを通じて拡散することを予見できた」

 事実、ネット上には「香山リカの勤務先に監査(医師法違反)が入ったという情報あり」など、違法行為をしているという趣旨の情報が拡散している。

 香山さんが提訴に踏み切った理由はあと一つ。「チャンネル桜」とメディアを名乗る組織が制作した番組が「ウソ」を言っている点だ。

「メディアを名乗りながら、裏づけ取材も行わず、事実を捻じ曲げ適当にでっちあげた。個人を貶めるためのデマには何の根拠も実態もないものであることを明らかにしたい」

 提訴に対しチャンネル桜は、こうコメントした。

「受けて立ちます」

 第1回口頭弁論は、5月11日に開かれる。

(編集部・野村昌二)

AERA 2017年5月1-8日合併号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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