●情緒的つながり求める

 結婚が成功だったと答えた人は、どのようなポイントで相手を選んだのだろうか。

「結婚の決め手」について聞くと、「失敗した」と答えた人に比べ、「成功した」と答えた人ほど「一緒にいて安心」「愛情を感じた」「この人しかいないと思った」といった精神的な充足を重視していることがわかった。

 逆に「失敗した」と答えた人は、結婚の決め手について「相手に迫られて」と答える人が「成功した」人よりも割合が多く、初期の時点でしっかりとした心理的な合意形成を結ぶことがカギとなっているようだ。

 家族社会学が専門の立命館大学の筒井淳也教授によると、近年、結婚において愛情などの情緒的なつながりを求める人は増加傾向にあり、愛情やコミュニケーションを大事にし続けると、その後も満足度が高いまま維持できるというデータもあるという。

 リクルートブライダル総研の「夫婦関係調査2015」によると、夫は「妻との会話量」、妻は「夫と一緒に趣味を楽しんだ回数」が多いほど、結婚の満足度は高くなるということがわかった。

 当たり前のようだが、ルックスや収入などのスペックだけでなく、長い結婚生活において、話が合い、同じ時間を共有できる気の合う相手を選ぶことこそ、出会いの時点で最も重視すべきポイントなのだ。

●居酒屋お見合いで結婚

 実際に「結婚に成功した夫婦」はどのように出会い、結婚を決めたのだろうか。3月某日、都内在住のIさん(夫・43)、Nさん(妻・40)夫妻を訪ねた。

 6歳になる娘と3人で暮らすIさん夫婦。今年で結婚10年目だ。取材中、娘はずっとIさんの膝の上から離れず、家族仲の良い様子が伝わってくる。大恋愛の末に結ばれたのでは……と想像したが、2人が出会ったのはIさんの父親がセッティングした居酒屋での「カジュアルお見合い」の場だった。

「おい、そろそろ嫁さん見つけたほうがいいんじゃないか」

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