もともとは赤の他人の男と女。でも、誰も別れる前提で結婚はしない。夫婦という共同事業の黒字経営・高値安定はいかに可能か。うまくいく結婚、うまくいかない結婚、その分岐点は一体どこにあるのか?
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家にいても、夫との会話はメールのみ。寝室も15年近く別々だ。時折、洋服を取りに自室を出る姿を見かけるだけ。
「そのほうが、変な喧嘩にならなくていい」
会社員のTさん(女性・51)は、淡々とそう語る。夫は家の中にいる、ただの「他人」。そう割り切ったら、楽になれた。
初めからこうだったわけではない。学生時代、音楽サークルの先輩だった四つ年上の夫。Tさんが社会人になってから交際がスタートし、25歳の時に結婚した。もう少し仕事を続けたかったが、ハネムーンで子どもを授かり、退職することにした。
ひずみが生まれたのはその時からだ。Tさんが妊娠してもたばこをやめず、隣で平然と吸い続ける夫。出産後も、おむつ替えを頼むと「おしっこならいいけど、ウンチは嫌」と断られた。その後も家事や育児に協力しないばかりか、子どもの教育費すら負担しない。下手に出て頼むのもばかばかしくなり、「もう夫のことはケアしない」と決めた。5年ほど前から、食事も作っていない。
離婚してもいいと思うときもあるが、ローンを完済した家を出ていくのも腹立たしいので、家庭内別居を続けようと思っている。
Tさんは、たまたま相性の悪い相手と巡り合ってしまい、「運が悪かっただけ」なのか。程度の差こそあれ、パートナーとの関係に悩んだことがない夫婦などいない。結婚における成否の分岐点は一体どこにあるのか──。
2017年2月下旬、インターネット調査会社マクロミルを通じて1032人の既婚者を対象にアンケートを実施。結婚を成功へと導く「方程式」を探った。
Tさんのように、初婚で「結婚が失敗だった」と答えた人は、全体の24.3%。男女別でみると、男性が22.7%、女性が26.0%という結果になり、女性のほうが失敗だったと感じる割合がやや高かった。