次に「室内対策」だ。大きな家具やクローゼットはすべて備え付けにした。タンスや戸棚といった転倒の危険がある大きな家具は置かなくてすむ。テレビはチェーンでつないだ。

 さらに「備蓄」も欠かさない。防災セットのほかに、常に1週間分の食料や水を買い置きして、徐々に使っていくという
「ながら備蓄」を実践している。

「防災セットは2~3日分ですが、食料は7~10日分備蓄しておくと安心です」(久田教授)

 さらに屋外には雨水タンクを設置。タンクにためた水はいざとなったらトイレ用水や飲料水にも利用できるが、普段は庭の植木の水やりに使っている。

災害時はまずは家にとどまり続けられるように、対策をとります。避難所は地域の連絡拠点として価値がありますが、まずは自助のための家の対策をします」(同)

地震後も住み続ける

 耐震構造が専門で、日本建築学会会長で京都大学防災研究所の中島正愛教授の自宅は、琵琶湖の南西に位置する大津市内にある。京大への着任にともない、約20年前に建てた。

「通勤距離と予算との兼ね合いもあるが、まずは地盤がしっかりしている土地を選びました」

 築後20年経つ木造住宅だが、適宜メンテナンスをしていることもあり、耐震構造の専門家である自身の目から見ても、「満足できる耐震水準」と言う。

 防災の3要素は「予防・予測・対応」。個人の取り組みとしてまずは「予防」が重要だと中島教授は話す。

「予防は、住宅の耐震化に尽きます。揺れによって倒壊しないというのが当然となってほしい。その上で、揺れのあとも使い続けることができる水準の耐震性が必要です」

 耐震基準を満たすのは、震度6強~7程度で倒壊しないという最低限の水準だ。倒壊しなくても、建物が傷めば、その後住み続けられなくなるリスクは残る。

 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループが13年に作成した首都直下地震の被害想定の報告書では、耐震化率が100%になったとしても、揺れによる全壊は約2万7千棟、建物倒壊による死者は約1500人(冬・深夜)と見積もった。

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