「映画にも映っていたけれど、13年にボランティアで子どもたちのサンタクロース役をやった経験がすごく大きかった。その後も1年くらい写真家としてボランティアを続けたんだ」

 大事なのは人と関わり続けることだ、という。

●日本で就職活動を?

「日本でもネットカフェで暮らす人がいることは知っているよ。この映画がサバイバル術になるか教訓となるか、それは見た人に決めてもらいたい。でも言えるのは『どんなときでも人との関係を断ち切っちゃいけない』ってこと。落ち込んだり、自分への評価をどうしても上げられないときは、自分に時間を与えて、人との関係をもう一度構築して立ち直るんだ。ボランティアはぜひオススメするよ。やりかたはいくらでもある。お金がなかったら、自分の時間を寄付すればいい」

 映画が公開されてから、生活は変わった?

「まずあのビルには住めなくなった。鍵を換えられちゃったからね(笑)。それに実はいまは家があるんだ。友人の部屋を家賃を払って借りてる。多くの人から手紙をもらうようにもなった。映画を見て『心を打たれた』と言ってもらえるのはすごくうれしい。『自分も何かを達成できたかもしれない』と思えるから」

 独身。いま一番ほしいものは家族だろうか?

「いや、いい仕事をして評価されることかな」

 実はいま、日本で就職活動をする準備中らしい。次の「家」は日本かも?(ライター・中村千晶)

AERA 2017年2月6日号

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