●大学授業も変わる必要

 多様な入試で意欲の高い学生、突出した能力や個性を持つ学生を集めるだけでなく、大学での教育自体も大きく変えていかなくてはなりません。ひと昔前の早稲田の卒業生には、大教室の講義が多く、授業なんて出なくても平気だと豪語する方もいらっしゃいますが、いまは授業の半数は20人以下、8割以上が50人以下で、少人数での対話型授業やフィールドワークなど体験型授業を拡充しています。

 また、5千人を超える留学生が在籍し、学生同士が英語で議論するのが日常となっていますし、毎年4千人以上が海外に留学しています。留学先とのダブルディグリープログラムも充実させ、多様な価値観がぶつかり合う中で切磋琢磨していけるようになっています。

──大学がそうした教育内容の充実を図ることは必須ですが、私立大学の4割は定員割れで経営が苦しいというのが現状です。

 もちろん個々の経営努力もありますが、国立大学との不当な格差も無視できません。

 国の補助金は、学生1人当たりで国立大は実に私大の13倍に上っています。では卒業後、国立大出身者は国の役に立って、私大出身者は役に立っていませんか? そんなことはないでしょう。

 私大の学費も、文系で国立大の2倍、理系では3倍に達し、もはや家計が支えられる限界に達しています。

 将来の日本を支える大学生の8割近くは私立に通っているのです。国費で養った人材が高級官僚として国を引っ張っていけばいいという新興国型の発想から脱却して、私立大にも国立大ともう少し対等な環境で競争させてもらいたいですね。

(編集部・石臥薫子)

AERA 2016年12月19日号

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