私立大学は、早稲田大学も含めて、現在のセンター試験だけで選抜されている入学者は少数で、多くは各大学独自の試験、またはセンター試験プラス独自試験によって入学しているので、独自の出題の中で思考力・表現力などを測る工夫ができます。新テストでの導入が難しければ、個々の大学が国語だけでなく英語や数学、社会科で記述を課すことも考えられます。今は国立大学で記述式を課しているのは4割に過ぎないと言われており、そこをどう改善していくかが重要な課題になっています。

──とはいえ、早稲田をはじめ9割の私立大学もセンター試験を活用していますよね。

 新テストの内容によって、高校教育のあり方が左右されることを考えれば、より望ましいものにすべきで、早稲田大学も出題方法の改善などに協力していきたいと考えています。

 遠方の生徒が東京で入試を受ける場合、最近は親御さんが付き添いで来られるケースも多いので、宿泊費を含めると何十万円もかかってしまう。そうした負担を軽減するためにも、早稲田では地元で受ける新テストのみで入学できる道を残していくつもりです。

●時間と字数のジレンマ

──記述式について文部科学省から、解答の文字数が80字以下の問題と、80字より多い問題を作り、文字数が多いほうは各大学が採点する案が出ています。

 私立大学の立場からすると、「2月1日に答案を渡すので採点してください」と言われても、独自入試の準備や実施、学年末試験の採点時期とも重なりますから、「実現困難だ。センター側で全部採点してほしい」という声が多数です。ただ、それを効率的に採点するため文字数を40字にするとなると、それで記述式と言えるのかというジレンマがあります。

──新テスト以外でも大学入試は大きく変わろうとしています。

 東京大学や京都大学などでもAO・推薦型入試に力を入れ始めましたが、早稲田でも、AO・推薦型のほうが多様な能力を評価できるし、筆記試験のみの入試より入学後の成績が良いことも踏まえて、AO・推薦型入試の割合を高くしていこうと考えています。18年度入学者からは、地域貢献に意欲を持つ生徒をAO方式で選抜し、地域貢献型カリキュラムを提供するという試みも始めます。

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