統合幕僚長 河野克俊さん/1954年生まれ。防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊。統合幕僚副長、自衛艦隊司令官、海上幕僚長などを歴任。2014年から現職(撮影/写真部・堀内慶太郎)
統合幕僚長 河野克俊さん/1954年生まれ。防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊。統合幕僚副長、自衛艦隊司令官、海上幕僚長などを歴任。2014年から現職(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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 中国、トランプ、北朝鮮、日本を取り巻く環境がきな臭くなっている。専守防衛に徹し、海外に展開できる装備は持たない自衛隊。安保法とトランプ大統領の誕生で、どう変わろうとしているのか。AERA 12月12日号では「自衛隊 コストと実力」を大特集。最新兵器から出世レース、ミリメシまでいまの自衛隊に密着している。

 米次期大統領が日米安保不要論を叫び、「積極的な武器使用」を認められた自衛隊が海外で活動する時代が来た。日本を守るのは誰なのか。統合幕僚長である河野克俊氏が、自衛隊の専守防衛について語った。

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 米大統領選に伴う今後の日米関係が注目されています。米国が今後、徐々にアジア太平洋への関与を後退させるとの指摘もありますが、私はそう感じておりません。自衛隊と米太平洋軍との関係は非常に緊密ですし、同司令官のハリス提督と私の個人的関係も非常に強固なものがあります。同盟の重要性は日米間で共有しているので、大きな変化はないと思っております。

 そもそも日本の防衛でいえば、日本が主体的に行動するのは当たり前。日本が前に出ないのに、米国の兵士が命をなげうつかという問題です。矛(ほこ)と盾(たて)の関係でいえば、日本は、憲法の制約、専守防衛から盾。矛の米軍に打撃力を依存せざるを得ない部分がありますが、日米ガイドライン改正、安保法成立で日米同盟を一層強化することで、日本の防衛は全うできます。

「駆けつけ警護」の任務が新たに始まります。安保法の審議過程で最大の議論は憲法との関係でした。武器使用は、諸外国に比べて制約がありますが、われわれは憲法を守る立場です。憲法の範囲内でしっかり任務を遂行することが必要だと思います。

 日本周辺の東アジアの安全保障環境は、非常に厳しい。北朝鮮はまずもって不透明。金正恩政権の安定性も目に見えない部分があり、非常に神経を使います。北朝鮮は核実験を今年2回実施し、ミサイルは二十数発発射、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)もある程度成功した。同時に3発発射、ほぼ同じ地点に落下するなど脅威の次元が一つ上がったという認識です。

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