核抑止力という観点では、日米同盟を維持しているので北朝鮮を抑えられていると思います。弾道ミサイル防衛(BMD)は、イージス艦(SM3)とPAC-3の二段構えで対応していますが、北朝鮮の技術進歩に応じて、BMDをいかに強化するか検討していく必要があります。
一方、東シナ海において、残念ながら日本と中国は厳しく対立しています。常時、対峙(たいじ)している状況です。領土・領海・領空を断固として守るという政府方針の下、自衛隊は行動します。日本からエスカレートさせるつもりはさらさらありません。中国の行動に対して、冷静に対応することを現場に徹底しています。中国との海空の連絡メカニズムを協議して早期発効し、できるだけ不測の事態が起こらない状況に持っていきたいと思っています。防衛交流の再開も必要であり、日本側は常にオープン。中国側がどう判断するかにかかっています。
中国が進出する南シナ海には、日本の重要なシーレーン(海上交通路)が通っていて、この海域の平和と安定は、日本の国益に直結します。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の能力構築を支援して、海洋安全保障能力を高めてもらうことが、安定につながります。自衛隊と米軍が共同巡航訓練をして一緒に行動することで、南シナ海でのプレゼンスも上げています。
南シナ海での米国の「航行の自由作戦」は支持していますが、米側と一緒にやることは考えていません。参加の要請もありませんし、日本があえてやることのメリット、デメリットを考慮し、慎重に考えるべきだと思います。
(構成/編集部・金子桂一)
※AERA 2016年12月12日号