もともと英王室は外遊先として、「特別な関係」の米国や、インドなど旧植民地からなる英連邦を優先させてきた。英連邦のカナダなどには女王を元首にいただくことに反発する動きがあるが、ウィリアム王子一家が訪ねた後などは沈静化する状況が見られた。ヨーロッパ大陸に行くのは戦争記念式典などに限られていたのだ。今後は、今までの伝統を大幅に軌道修正して、妃はヨーロッパの国々に足しげく顔を出すことになるだろう。


広がる第3子待望論

 一方で、国内では第3子待望論が持ち上がっている。すでに「今年のクリスマスか来年早々には良いニュースが聞かれる」との報道さえ出回る。ジョージ王子(3)、シャーロット王女の愛らしい姿を目にするたびに、「ぜひもう一人」の声がやまない。EU離脱で国民に不安が広がる中、妃には明るいニュースをもたらしてほしい。ただ、EU加盟国は英国を除き27ほどもある。王室外交と赤ちゃんを両立させるのは至難の業だろう。

 来年早々に35歳になり、現在は結婚5年半のキャサリン妃。女王から国民から、そしてEU離脱という思いがけない展開から、プレッシャーは次々に妃にのしかかる。人気があるがゆえの期待ともいえるが、妃の責任は公私ともに増すばかりである。(フリージャーナリスト・多賀幹子)

AERA 2016年12月5日号

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