多くのサポーターの思いをのせ、映画「この世界の片隅に」の公開がスタート。声の演技という新たな領域に挑んだのんさんに話を聞いた。
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──原作を読まれて、最初にどんな印象を持たれましたか?
のん:戦時下の世界は自分がいるところとは別の非日常のような気がしていました。でもこの作品を読んだ時、日常と隣りあわせでああいうものが降ってきたということをリアルに感じたんです。自分に引きつけて考えられるようなところがあり、絶対にすずさんの役をやりたいと思いました。
──こうの史代さんは、試写をご覧になって何とおっしゃっていましたか?
のん:「自分が描いたすずさんより明るさが加わり、とても良かった。私も暗いから見習わなきゃ」と言ってくださいました。「原作を読むと、すずさん、けっこうパワフルに読んでしまった……」と思ったのですが(笑)、作品の世界が台なしになっていたらどうしようと心配だったので、すごくうれしかったです。
●声の演技の難しさ
──声だけの演技は、どんな点が難しい、または面白いと感じましたか?
のん:身体表現や表情など、視覚的な情報が使えません。映像があって、すずさんは動いているんですが、自分が動いているときよりずっと声に情報を入れないと成立しないんです。最初とても難しかったんですが、感覚的につかめてきてからは、面白い!と感じるようになりました。