歴代の都知事が屈してきた都議会自民党に、真っ向勝負を挑む小池都知事。新党カードのプレッシャーが、自民党に亀裂を走らせる。
10月上旬、アエラのインタビューに応じた小池百合子都知事は、「核武装」への考えを聞かれてこう答えた。
「国際政治は冷徹。(核を)持つ選択肢は基本的にはないが、『ない』と言ってしまってはゲームに勝てない」
7月の都知事選を機にはじまった「ドン」内田茂都議(77)率いる都議会自民党と小池都知事側との主導権争い。高い支持率に加え、「ゲーム」を有利に進めるカードとして小池氏側がちらつかせるのが、「小池新党」カードだ。
10月30日、豊島区内の大学ホールを借りて行われた小池百合子政経塾「希望の塾」開塾式。受講料3万~5万円という設定にもかかわらず4827人が応募し、最終的に2902人が入塾した。塾生の4割は女性。2人の子どもを連れて参加した都内の30代女性は「政治には興味がなかったけど、わかりやすく話してくれる小池さんに好感をもった。いずれは私も政治家をやってみたい」と語る。小池氏は冒頭のあいさつで「皆様一人ひとりが批評家ではなく、プレーヤーになって参加していただけるような方向を目指して参りたい」と意味深に語った。
●自民の「隠れ小池派」
小池塾に集う人だかりの向こうに見えた「小池新党」の影は、自民の動きに少なからず影響を及ぼしている。この日は、都知事選で小池氏を応援し、自民党東京都連から離党勧告をつきつけられた7人の豊島、練馬の区議、通称「7人の侍」の処分が決まる日でもあった。だが、都連は処分を先送りした。
「『勝てば官軍』は許されない。党の指示に従って他党の候補でも応援してきた都議や区議は『なぜ規則を守ったほうが冷や飯を食わされるのか』と怒り心頭だ」(都議会自民党の関係者)
そんな不満さえ、封じられた。
ある都連関係者は、30日を境に自民都議団内部の雰囲気が変わったと語る。