「7人を処分しろという都議の幹部たちに対し、若手は『来年夏の都議選のことを考えてくれないと』と心が離れてきている」

 誰が隠れ小池派か、小池新党に走るのか。議員の間に疑心暗鬼が広がっていると、この関係者は言う。小池氏側近は、こう断言する。

「今度の都議選は、自民をどう落とすかという選挙になる。現状の自民都議団とは体質的に相いれない」

 小池氏が初めて臨んだ都議会定例会で、自民は知事の提案したすべての議案に賛成した。小池氏側に「すり寄ってきた」ともとれる態度だが、この側近は「すり寄ってきても全力で振り落とす」とまで言う。

「もし会派を割ってくるのであれば我々は協力するかもしれないが、そこまで腹をくくっている人は今のところ見当たらない」

●都議選で自民惨敗も?

 小池塾には、「橋下徹前大阪市長が仕掛けた維新政治塾でも、結局ろくな候補者が集まらなかった。人数は多くても脅威ではない」(自民都連幹部)といった見立てをする関係者も多い。小池氏自身も自民に党籍を置いたまま。それでも前出の小池氏側近は、都議会自民党へのプレッシャーになりうると語る。

「3千人のうち3~4%、約100人はものになる人物がいる。それだけいれば、都議会自民党への刺客候補には十分だ」

 もし「小池新党」が誕生し、都議選で風が吹き、都知事選で小池氏が集めた票の7割を獲得したら──。島しょ部をのぞく東京で六つある1人区で自民候補は、圧勝した前回並みの票を集めても内田氏を含む4人が落選することになる。複数候補が当選する選挙区でも楽観できない。都知事選で小池氏は自民支持層の約5割の票を集めており、刺客候補に自民票が流れかねない。当選すれば地域政党か、自民系第2会派の結成も考えられる。

 ある都議は、「小池氏側は特に20~40代の女性を塾生からピックアップし、刺客候補にしようと考えているようだ」と語る。小池塾は現在、追加募集をかけているが、「気持ちが揺れている自民党や民進党などほかの政党からの参加をうながす意図だ」。国政で自民党と組む公明党も統一地方選では苦戦しており、「国政以上に重視している都議選を考え、小池氏側にすり寄る公算が大きい」(いずれも前出の都議)とも言う。

「小池新党」の揺さぶりに翻弄(ほんろう)される自民都議団。その中でささやかれているのが、ドン内田氏の「勇退」説だ。近しい都連関係者が語る。

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