●「1年で10キロ痩せた」

 止まったままの空中ブランコに乗るスタイルで体験できるのが、大阪市の「いくらサーカス」だ。

 整形外科医の京文靖さん(42)と瑞恵さん(41)夫妻が、2人で支え合う技の練習を重ねていた。

「夫はすごく太っていたんですが、1年前からやり始めて10キロ痩せました。私はやせすぎだったんですが、筋肉がついて、着こなしも変わりました。スポーツジムは単調で飽きますが、これは飽きないんですよ」(瑞恵さん)

 夫妻は今、動画サイトを見ては、「こんなのできるかな?」と挑戦する。ふたりの後ろ姿の筋肉は、ハンパない。

 いくらサーカスには、空中ブランコ以外にも「おばちゃんサーカス」という初心者クラスもある。私も、女性2人と体験させてもらった。

 まずは準備体操。逆立ち、3点倒立、でんぐり返り、後ろでんぐり返り、開脚前転といったマット運動を補助つきで繰り返す。後ろ回りがものすごく怖い。小学生時代にはできていたことが今、こんなざまなのが悔しい。

 続いて、天井からつるされた布に足を絡めて、天井まで登っていく「エアリアルティシュー」に挑戦した。

 通い始めて1年の川野しおりさん(43)は、7メートルをスイスイ上がる。通って4カ月の福崎央子さん(47)も、時間はかかったものの天井まで上がれた。でも、私は全く上がれない。腕がプルプル震える。上腕に力がなさすぎる。愕然とした。

 住宅街にある元鉄工所を改造して昨年5月にオープンしたいくらサーカスには、ほかにもさまざまなサーカスレッスンができる特殊な設備が、こぢんまりとしたスペースに多種そろう。入り口のシャッターを開けてレッスンしているので、下校途中の子どもが気軽に見学するなど、下町の風景にすっかりなじんでいる。会員は30~40代の女性を中心に約70人。幼児から通える「親子でサーカス」や、小学生向け「キッズサーカス入門」などもあり、うち25人は子どもだ。

「サーカスのいいところは、信頼関係がないとできないところですね。お互いのことを考えて初めて、ひとつのことができるんです」

 と、代表の谷川育子さん。確かに、子どもたちものびのび動きながら、人のすることを見て安全に気を配っている。小さいうちからこんなことができるようになれば、人への配慮も身につくだろう。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ