「池江さんたちの陰に隠れていてほしい」という父の願いかなわず(?)、一躍注目された長谷川涼香。あと0.5秒縮めれば、金メダルも夢ではない (c)朝日新聞社
「池江さんたちの陰に隠れていてほしい」という父の願いかなわず(?)、一躍注目された長谷川涼香。あと0.5秒縮めれば、金メダルも夢ではない (c)朝日新聞社
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 競泳競技のスタートは、開会式翌日の8月6日。代表選手たちの活躍に、日本選手団の浮沈がかかる。

 2000年シドニー大会以来の「北島康介がいない五輪水泳」。その見どころを解説する。

 リオデジャネイロ五輪の開幕まで1カ月を切った7月10日、9月に行われるいわて国体の東京都代表選考会で、女子200メートルバタフライの今季世界3位のタイムをたたき出した選手がいる。「女子高校生トリオ」と言われつつ、池江璃花子(16)、今井月(15)の活躍に隠れがちだった「陰のJK(女子高生)」、長谷川涼香(16)だ。

 この日の「2分6秒00」は、昨年の世界選手権なら銀メダル。自身もコーチで、小学6年生まで長谷川を指導した父の滋さん(48)も目を丸くした。

「こんなふうになるとは予想もしていなかった。(五輪に)出させてもらうだけですごいのに」

 2日前に高地合宿を終えたばかりで、調整もしていない状態での自己ベスト更新だというからますます、リオ五輪でのメダルに期待が高まる。

●父が泳ぎをつくった

 トップスイマーの多くは小さいころから頭角を現すが、長谷川は、「小学5年生まで予選落ちの常連だった」という遅咲きだ。父と娘にとって五輪は「寝ながら夢見る」ものだった。だが、6年生くらいから、

「肩の力が抜けた泳ぎができるようになり、ラストも失速しなくなった」(滋さん)

 ところが、長谷川の所属先であり父の勤務先でもあったスイミングクラブが閉鎖になる大ピンチ。なんとか東京ドームへの転職が決まった父から「どうする?」と聞かれた長谷川は、「お父さんについていく」と答えた。

「水泳指導に明け暮れていて、家で遊んでやる時間もなかった。涼香が小さいころから、会うのはプールだけだった。唯一の親子の時間でした」(滋さん)

「明らかにほかの子とは違う」背筋力の強さを生かして、いまの長谷川の泳ぎをつくったのは滋さんだ。日本人は上半身を使って水をかくプルの力が比較的弱いとされるが、長谷川は強い上半身をフル稼働させる泳ぎで、ラストスパートまでキックを残しておけるのが強みだ。

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