その結果、外はサックリ、中はしっとりの生地が作れるレシピにたどり着いた。直径9センチの円形8枚分の材料は、「クリームチーズ30グラム、卵黄2個分、きび砂糖小さじ1、卵白2個分、ベーキングパウダー小さじ1/3」のみ。これらの材料を混ぜてオーブンで焼くだけのシンプルな作り方だ。

「乳製品アレルギーの方はクリームチーズの代わりにバナナや豆腐クリームを使用するなど、色々なアレンジが可能です」(吉川さん)

●初めての食感

 吉川さんが運営している菓子教室でクラウドブレッドを作ったところ、「初めての食感!」という感想が相次いだ。バター不使用のため、付け合わせの食材を邪魔せず、総菜系やスイーツ系どちらにも合う。そのままでもほんのり甘い。野菜やクリームなど食材に含まれる水分ともなじみ、飲み物がなくても口内がパサつかないのも特徴だ。

 記者も試食したが、そのままでもほんのり甘いし、具次第で何度でも味変できるところは、「洋風手巻き寿司」だと思った。

 作り置きをして冷凍保存も可能なため、日々の食事をはじめ、お酒のつまみやホームパーティー時のメニューにも活用できる。

 カロリーが低いので腹持ちしないのが難点だが、あえて軽めの食事として取り入れる方法もあると吉川さんは言う。

「クラウドブレッドは高たんぱくのため、ダイエット時の置き換え食品にも最適だと思います」

(編集部・小野ヒデコ)

AERA  2016年8月8日号