アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はファーストリテイリングの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■ファーストリテイリング 人事部 ユニクロ店舗人事チーム リーダー 佐々木彩(37)
毎週金曜日の午後4時半。ファーストリテイリング東京本部34階にある社食が、照明を落とした「ロックンロールカフェ」へと変貌する。入場料300円。社員はビュッフェ形式で食べ放題の食事と、1杯100円でお酒を楽しむことができる。ビリヤード台もあり、社員同士の親睦を深めたり、他社との飲み会の時間まで一杯飲んで時間をつぶしたりするのに使われる。
「私はどちらかというと、ランチを取りながら、チームのメンバーとコミュニケーションを取るほうが多いですが(笑)」
日本女子大学理学部を卒業後、完全実力主義で、年齢など関係なく働けることに魅力を感じ、2001年に入社した。
ユニクロ原宿店に店長候補として配属されてから店での販売経験を積み、03年に三鷹店の店長に。多摩センター店、国分寺店と規模の大きい店の店長も任された。06年、横浜エリアのSV(スーパーバイザー)として店舗のマネジメントを任されると同時に結婚。ますます忙しくなった。
女性が比較的働きやすい会社ではあるが、「それでも当時、SVで結婚している人はいなかったんですよ」
だから、「女性活躍推進プロジェクト」から声がかかると、すぐに参加を決めた。08年に人事部へと異動し、13年にリーダー職に。「言いたいことを言い合う」を胸に7人のチームをまとめる。アルバイトなど、販売スタッフの面接がスムーズにできるように採用センターを立ち上げ、応募者のエントリーから面接のアレンジなど、忙しい店長の負担が少しでも軽減するように環境を整えることが仕事だ。
仕事か、家庭か。その岐路に立つとき、佐々木はいつも両方ともあきらめなかった。夫もむしろ佐々木に働くことを勧めた。
「結婚、出産したら仕事をあきらめないといけないほうがおかしいんですよね」
5月、3人目の子どもが生まれる予定だ。
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・大川恵実)
※AERA 2016年3月7日号