「95年の事件の教訓を十分に生かせず、また今回のような悲惨な事件が起きてしまった。対策と言っても、米軍基地を撤去しなければ根本的な解決にはつながらない、という思いが県民の頭をよぎるのも無理はないでしょう」(江上教授)

●海兵隊撤退決議 自民反対できず

 沖縄県議会は5月26日、事件に抗議し、「在沖米海兵隊の撤退」を求める決議を可決した。県政与党ではない公明党も賛成。自民党は退席したものの、反対までは打ち出さなかった。

 沖縄の公明党関係者はこう打ち明ける。

「うちは元々、基地反対の支持者が多い。基地問題では自民党とは違うんだという独自性を示すことができたのは、ポイントの一つになりました」

 これも奏功したのか、県議選で公明党は公認候補4人が全員当選した。逆風の中、よく踏みとどまった、との認識だという。

 前出の比嘉氏は、県議会での海兵隊撤退決議について、「県議たちの思惑を超えるかもしれない」と予測する。辺野古新基地建設に反対している翁長知事が一気に在沖米海兵隊の全面撤退要求にかじを切る可能性もある──と言うのだが、その行方を占う上でも重要なのが参院選だ。

「今の沖縄では安倍政権に連なれば政治生命の危機を招きかねない。こうした沖縄の民意を築いたのは政府自身なのです」(比嘉氏)

(編集部・渡辺豪)

AERA 2016年6月20日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?