国土交通省がこの4月に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」の第1位は、「日本食を食べること」。「買い物」や「温泉入浴」「自然・景勝地観光」などと比べても、ぶっちぎりのトップだ。
そして「日本食を食べること」は、「次回したいこと」でも「買い物」などを抑えて1位。“レストラン・ニッポン”を食べ尽くすことが、今や日本旅行のキラーコンテンツとなっていることは間違いなさそうだ。
とはいえ世界中で日本食ブームが拡大すると同時に、ここ数年はその料理の幅も広がっている。RAMEN、UDONなども普通に英語の辞書の常連で、世界各地で食べられる。
●ムスリムにビュッフェ
じゃあ、彼らはどんな日本食を食べに日本に来るの? というわけで、10年以上前からサイトに英語、中国語など4言語で飲食店情報を掲載し、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」と連携を発表するなど、外国人観光客の食の情報源にもなっている「ぐるなび」を訪ねた。
グローバルグループの水野裕敬さんは言う。
「ぐるなび外国語版の検索ワードランキングを見ると、昨年の春頃から外国人観光客の嗜好(しこう)が細分化してきたのがわかります。たとえば簡体字(中国人)による2013年10月のランキングでは、ふぐ、うなぎ、ステーキ、カニ、懐石料理と、とにかく豪華料理名が並んでいました」
ところが、
「ラーメン、居酒屋など、庶民的なグルメが検索ワードにランクインする傾向が、昨年春くらいから顕著になっています」
同時に観光客の行動範囲も拡大して、マニアなエリア名の検索も増えているのが最近の特徴だという。
「都内でいうと、新宿、銀座などの有名エリアがその範囲を広げているほか、下北沢、吉祥寺といった都心以外への広がりも見て取れる。都心のホテルが取りづらくなり、宿泊場所が都心以外に広がったことも大きいと見ています」(ぐるなびの久富謙介さん)
現在の検索ワードランキングを見てみると、エリア名での検索の多いハングル以外では、「ビュッフェ(または食べ放題)」「肉系(神戸牛、和牛、焼き肉など)」が、共通キーワードとして浮かんでくる。