「神戸牛すてーき処 牛庵」は、囲炉裏のある古民家風のインテリア(撮影/出版写真部・岸本絢)
「神戸牛すてーき処 牛庵」は、囲炉裏のある古民家風のインテリア(撮影/出版写真部・岸本絢)
台湾から来たという男性グループは、神戸牛のシャトーブリアンに舌鼓を打っていた。東京に滞在中は毎日通うリピーターもいる(撮影/出版写真部・岸本絢)
台湾から来たという男性グループは、神戸牛のシャトーブリアンに舌鼓を打っていた。東京に滞在中は毎日通うリピーターもいる(撮影/出版写真部・岸本絢)
「大地の贈り物 上野店」は、品数100種類をそろえる和食ビュッフェの店。日本に繰り返し来ている人ほど、素材のおいしさにハマる傾向があるという(写真提供:ダイヤモンドダイニング)
「大地の贈り物 上野店」は、品数100種類をそろえる和食ビュッフェの店。日本に繰り返し来ている人ほど、素材のおいしさにハマる傾向があるという(写真提供:ダイヤモンドダイニング)
「AERA2016年6月13日号」より
AERA2016年6月13日号」より

 国土交通省がこの4月に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」の第1位は、「日本食を食べること」。「買い物」や「温泉入浴」「自然・景勝地観光」などと比べても、ぶっちぎりのトップだ。

 そして「日本食を食べること」は、「次回したいこと」でも「買い物」などを抑えて1位。“レストラン・ニッポン”を食べ尽くすことが、今や日本旅行のキラーコンテンツとなっていることは間違いなさそうだ。

 とはいえ世界中で日本食ブームが拡大すると同時に、ここ数年はその料理の幅も広がっている。RAMEN、UDONなども普通に英語の辞書の常連で、世界各地で食べられる。

●ムスリムにビュッフェ

 じゃあ、彼らはどんな日本食を食べに日本に来るの? というわけで、10年以上前からサイトに英語、中国語など4言語で飲食店情報を掲載し、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」と連携を発表するなど、外国人観光客の食の情報源にもなっている「ぐるなび」を訪ねた。

 グローバルグループの水野裕敬さんは言う。

「ぐるなび外国語版の検索ワードランキングを見ると、昨年の春頃から外国人観光客の嗜好(しこう)が細分化してきたのがわかります。たとえば簡体字(中国人)による2013年10月のランキングでは、ふぐ、うなぎ、ステーキ、カニ、懐石料理と、とにかく豪華料理名が並んでいました」

 ところが、

「ラーメン、居酒屋など、庶民的なグルメが検索ワードにランクインする傾向が、昨年春くらいから顕著になっています」

 同時に観光客の行動範囲も拡大して、マニアなエリア名の検索も増えているのが最近の特徴だという。

「都内でいうと、新宿、銀座などの有名エリアがその範囲を広げているほか、下北沢、吉祥寺といった都心以外への広がりも見て取れる。都心のホテルが取りづらくなり、宿泊場所が都心以外に広がったことも大きいと見ています」(ぐるなびの久富謙介さん)

 現在の検索ワードランキングを見てみると、エリア名での検索の多いハングル以外では、「ビュッフェ(または食べ放題)」「肉系(神戸牛、和牛、焼き肉など)」が、共通キーワードとして浮かんでくる。

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