今夏、甲子園を沸かせたオコエ瑠偉。高い身体能力が注目されたが、それは妹にも受け継がれているようだ。
女子バスケットボール16歳以下日本代表候補でもある明星学園高2年のオコエ桃仁花さん(16)は、この夏から兄のことで頭が痛い。兄、オコエ瑠偉(関東第一高3年)が甲子園で注目され、取材の申し込みが殺到した。
「小さい時から兄と比べられるのが大嫌いだった。向こうは私より足も速いし、スポーツ万能だから。でも負けたくない」
盛んに兄をライバル視するが、彼女だって身長182センチで50メートルの最速タイムは7秒フラット。兄より先に日の丸をつけた。
「習い事はフラダンスとバスケット。小学校高学年で母からどっちにするか決めて、と言われて、フラダンス!と答えたら、バスケにしなさいと。だったら、聞かないでよって思った」
そのバスケで才能が開花。無名の中学校を全国大会に牽引した。ところが、高1の秋に一度バスケをやめたくなった。
「練習はきついし、監督は怖いし。つらくて仕方なかった」
彼女を「負けん気も責任感も強いけど、すごく繊細」と見るのは高橋三絵コーチ。自宅に連れていき、「あなたには可能性がある」と励ました。
「おかげで心が落ち着いた」
コーチ宅に下宿させてもらってから、前向きに取り組めるようになった。パスセンスと攻撃力で日本代表入りを目指す。
「兄と一緒に東京オリンピックに出られたらいいなと思う」
※AERA 2015年12月14日号より抜粋