公務員の中でも激務とされる教師たち。労働時間は、世界的に見ても長い。しかもその時間の多くは、本業以外の保護者対応や報告書作成に費やされている(※イメージ)
公務員の中でも激務とされる教師たち。労働時間は、世界的に見ても長い。しかもその時間の多くは、本業以外の保護者対応や報告書作成に費やされている(※イメージ)

 公務員の中でも激務とされる教師たち。労働時間は、世界的に見ても長い。しかもその時間の多くは、本業以外の保護者対応や報告書作成に費やされている。

 午前7時には出勤して、8時過ぎから始まる授業に備える。放課後は児童の指導や保護者対応、ノートのチェックやテスト作成に追われる。授業の準備にとりかかると、あっという間に午後10時を回ってしまう。1カ月の残業時間が100時間を超えることもザラ。終わらない仕事を自宅に持ち帰っては、睡眠時間が削られていく。

「教師に、タイムカードなんてない」

 中越地方の小学校で働く50代の女性教師の言葉だ。児童の家庭に問題があれば、その対応にかかりきりになる。

 小学4年生の担任をしていたとき、ある男子児童の両親が離婚。母親は再婚したが、義理の父親は「しつけ」と称して男児に暴力をふるった。男児は保健室に引きこもり、下校時間が近づくと「5時になっちゃう。6時になっちゃう」とおびえるようになって、やがて家出を繰り返した。女性教師は男児を捜して警察官と街を歩き回り、明け方に倉庫に隠れているのを発見したこともある。

 児童同士のけんかに親が激怒。午前0時に「なぜ学校でけんかが起きるのか。けががなくなるように計画書を作って持ってこい」という電話がかかってきたこともあった。朝を待って午前7時に家庭訪問して謝罪。他の親からも同様の「クレーム」があり、「出るところに出てやる」と脅されたことが引き金になって、うつ病に。その後1年半、休職した。女性教師は言う。

「トラブル対応で肝心の授業準備が片手間になってしまうことも、強いストレスでした」

AERA 2015年11月16日号より抜粋