「安心して預けられる施設」を見抜く術は…(※イメージ)
「安心して預けられる施設」を見抜く術は…(※イメージ)
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 家族や地域で見守っていければ、それに越したことはないだろう。しかし、さまざまな事情から「高齢者ホーム」への入居が選択肢となることも多い。認知症介護の手厚いホームは、どのように探したらいいのか

“介護の質”をどう測ったらいいのか。千葉県流山市の介護付き有料老人ホーム「マザアス南柏」(ミサワホーム)を訪ねてみた。入居者とスタッフの笑顔があちこちで見られ、アットホームな雰囲気が心地よい。

「介護の質はスタッフの力で決まります。介護保険法で定められた介護スタッフの人員体制は入居者3人に対しスタッフ1人ですが、私どもは1.5人対1人。ケアマネジャーの数も多めです。看護師は24時間常駐していますし、認知症ケア専門士や理学療法士など、専門スタッフもいます」(橋本盾彦施設長)

 認知症の介護には、この「認知症ケア専門士」がいるかどうかがポイントだという。日本認知症ケア学会が認定する資格で、全国に約3万人いる。

「認知症の方はよく暴れると思われがちですが、すべて理由があっての行動です。なぜそうするのかと心に寄りそって介護すれば、穏やかな表情をされる方がほとんどです」(橋本施設長)

 さらに中村さんは、他の入居者とのトラブルを防ぐため、「認知症専用のフロアがあると、なおいい」と言う。同ホームは2階を認知症専用スペースとしていたが、入居後に認知症になった場合は「住み慣れた部屋にいたい」という申し出を受け入れるという。こうした施設の方針も事前に確認したい。

 高齢者ホームをめぐっては、川崎市で起きた介護職員による入居者虐待など、痛ましい“事件”も絶えない。「安心して預けられる施設」を見抜く術はないのだろうか。

 介護施設のオペレーションに詳しいエイジング・サポート代表の小川利久さんは、「施設長やスタッフと会えばわかる」と語る。スタッフがしかめっ面をしていたり、「大変だ」などとネガティブな言葉をもらしたりすることがあれば、要注意。入所者が悪影響を受ける危険性があるという。「監視役を果たす周辺地域と交流しているか」も、優良な施設かどうか見分ける方法だ。

 高齢者ホームというと、施設の豪華さに目を奪われがちだが、まずは「人を見よ」。これが鉄則と言えそうだ。

AERA 2015年11月2日号より抜粋