10月3日、ジャパンオープンで浅田真央が復帰した。いきなり、フリーの自己最高得点に迫る141.70を記録。新しい武器を手にしていた。
やはり、浅田真央はスターだ。そう実感せずにはいられない、見事な復帰戦だった。
さいたまスーパーアリーナでのジャパンオープン。今季のフリー曲「蝶々夫人」に乗せて、軽やかなトリプルアクセルや調べに溶け込むような艶やかな演技を見せ、誰もが待っていた“かわいい真央ちゃん”を超える真骨頂を発揮した。
1年の休養を経て、今年5月に練習を再開したものの、7月のアイスショーで見せたのはエキシビション用の演技のみ。トライした3回転ジャンプも難易度の低いもので、「感覚はだいぶ良くなったが、まだまだ」と、ジャンプの仕上がり具合は明かさなかった。
実はこの間に、浅田とコーチ・佐藤信夫の練習スタイルに変化が起きていた。佐藤が言う。
「これまでは僕が細かく指示を出していたけれど、もう25 歳の立派な大人。子ども扱いしたら反発もあるでしょう。いまは彼女の自由にさせて、どうしても気になるところを注意するだけ。25歳を超えた選手を指導したことがない僕自身のほうが、むしろ不安だらけですよ」
“佐藤の理想とするスケート” に選手を近づけていくのがこれまでだとすると、今後は“浅田の目指すスケート”に近づくために佐藤が見守るというのだ。