AERA2015年8月31日号 表紙の綾波レイさん
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 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(1995~96年/テレビ東京)が描いたのは、くしくも2015年の夏。テレビ放送から20年が経つにも関わらず、いまだに多くの人を魅了する。その理由はどこにあるのか。

「新世紀エヴァンゲリオン」、その物語はこうだ。かつての東京は、もうない。都市機能は「箱根町芦ノ湖」の地下に移設され、新都市「第3新東京市」が生まれていた。

 ある日、主人公の碇(いかり)シンジ(14)は、疎遠だった父・ゲンドウから呼び出され、任務を課せられる。父親が最高司令官を務める「特務機関NERV(ネルフ)」が建造した「エヴァンゲリオン」のパイロットとなって、巨大な「使徒」と戦うことだった──。

 あらすじだけを読めば、ロボットアニメではある。だが、その中身は異様そのもの。なぜなら、物語の中心にあるはずの目的が、極めてあいまいなのだから。なぜ使徒は襲ってくるのか。主人公らはなぜ戦うのか。目的がはっきりと明かされることはない。

 そんな謎だらけの作品が20年にもわたって輝き続けた背景には、いくつかの理由がある。 まず、アニメ作品にとって重要なのは、ビジュアルだ。著書に『視覚文化「超」講義』がある批評家の石岡良治さんは、

「庵野(秀明)監督は、『風の谷のナウシカ』や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の仕事で証明済みのように、爆発や破壊シーンを描く力量が極めて高い人。エヴァでもその実力はいかんなく発揮されている」

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