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 ゴムウエストといえば少し前までは「パジャマ」「運動着」というダサい印象が強かったのではないだろうか。だが、いまは一変している。

 女性ファッション誌「ヌメロ・トウキョウ」のエディトリアル・ディレクター軍地彩弓さんは言う。

「快適性を重視したファッションが流行するキーになったのが、約3年前のランバンコレクション。ウェットスーツのような生地を使ったドレスを展開したんです。形はきれいめながら、ストレッチが利くスポーティーな素材でつくったもの。ハイブランドでもストレスフリーの流れが出てきています」

 なるほど、「おしゃれは我慢」というほうが時代遅れのようだ。

 東京の伊勢丹新宿店にあるセレクトショップ「リ・スタイルレディ」のターゲットはおしゃれを思い切り楽しみたいという中高年層だ。カラフルで華やかな柄でデザイン性が高い服が並ぶ。人気だというゴムウエストのパンツもおしゃれだ。

 夢中なのは中高年層だけではない。ユニクロで展開されているゴムウエストのボトムスは20代後半から30代の働く世代にも人気だという。

 だが、ちょっと待った! 私たちのウエストは、ゴムで甘やかされていいのだろうか。これじゃあ、際限なくおなかはぶくぶくと育つ一方ではないか。

「一度解放されたウエストは、もう締め付けることはできないんですよ」

 というのは、文化学園大学の服装学部教授、永富彰子さんだ。2001年、極端に股上が浅く、腰の低い位置ではくローライズのジーンズなどが若者を中心にはやった。ウエストを締め付けない服が支持される時代になり、寸胴(ずんどう)な若者が増えたと指摘する。

 その流れの中で、昨年はスカートが流行。甘やかされたウエストに合わせてゴムウエストがはやったのではないかと永富さんはいう。

AERA  2015年6月29日号より抜粋