●早いもの勝ちには反感
今は休暇の申請をウェブで行い、上司はそれを承認するという会社も多い。ただ、使い方を間違えると、「会社の都合も考えない自分勝手なやつ」と見られるリスクもある。医療関係の会社に勤める女性Bさん(27)は、後輩の休みの取り方に、あぜんとした経験がある。
Bさんの会社は、ワーキングマザーの社員が多いので、子どものイベントなどで休みが重ならないように、いつ休暇を取るか、情報を共有している。ところが、中途入社してきた後輩社員が、まだ入社3カ月なのに、いきなり海外旅行目的で10日の年休を申請してきた。Bさんは怒りが収まらない。
「本来はママ社員の休みを優先させるための情報共有システムなのに、半月前に割り込んで休むなんて、ありえない。新入社員に『休みは早いもの勝ちだから』とか的外れなアドバイスもするし、いい迷惑です」
こういう怒りを買わないためにも、事前に相談して、休暇が職場の中で「想定内」に収まるようにしておきたい。
●上司に家族計画も
だが、想定することが難しい休みもある。たとえば、妊娠による産休と育休。働き方コンサルタントで「ルシーダ」社長の椎葉(しいば)怜子さん(37)は提言する。
「1人目を妊娠して育休を取ったあと職場復帰したのに、1年もたたずに2人目を妊娠するケースは少なくありません。そうなると、せっかく苦労して1年間やりくりした職場は、上司も含め裏切られた気持ちになり、人間関係はぎくしゃくしてしまいます。その後、いくら『がんばります』と言っても、なかなか信じてもらえません。そうならないためにも、普段から“将来の可能性”を上司に伝えておきましょう。子どもは産みたいけれど1人でいい、きょうだいがいないとかわいそうだから2人目が欲しいなど、“家族計画”もオープンにしておくと、リスクヘッジになります」
とくに男性の上司は、コンプライアンス上、いくら気になっても家族計画など聞けるはずもない。部下があっけらかんと話してくれることで、セクハラも回避できて一石二鳥
なのだ。
自分だけが休むとなれば、その理由が何であれ、必然的に「その仕事を代わりにやってくれる人」が必要になる。そのためには、日頃から「お互いさま」と言える関係をつくっておく必要がある。
「能力があっても、同僚が困っているのを横目に見ながら定時に『お先』と帰る人は、感情的に共感されません。そういう人は、困っていてもフォローされないので、休みづらくなってしまう。同僚の仕事は小さなことでも率先して手伝う、ランチに誘われたら一緒に行って愚痴を聞くとか、この人ならフォローしてあげたいと思わせることが大事です」(椎葉さん)