楽しみな大型連休も、心がけが悪いと上司・同僚に嫌われる。気持ちよく休むには、そのための「お作法」を知っておきたいもの。日頃からの相談、気遣いが職場に“幸せ”をもたらす。(編集部・作田裕史)
ITベンチャーに勤める30代後半の女性Aさんは、会社で「ジャニーズ好き」を公言している。机には「嵐」の写真やグッズを所狭しと飾り、上司や先輩にからかわれても、「でも、好きなんです!」とコアなファンであることを隠さない。
昨年、そんなAさんに「勝負」のときがやってきた。嵐が9月にハワイツアーを行うことが発表されたのだ。5泊7日のツアーで費用は約35万円。
「会社を休んででも、絶対に行ってやる!」
●積極的に趣味を開示
Aさんは上司や同僚との雑談の中で、さりげなく嵐の話題を出し、「ハワイツアーがあるんですけど、当選するか不安で~」「すっごく楽しみなんですけど、お金がかかりそうで~」と、一喜一憂する姿を見せつけた。
その後も、「当選しました」「でもお金がないんです」と、状況報告を繰り返すうち、周囲にAさんの熱意が波及。「ホテルはどこにしたの?」「節約しなきゃだめだよ」と、アドバイスしてくれるまでになった。結局、Aさんの「戦略」が奏功して、誰からもやっかまれることなく、有給休暇をゲット。嵐の海外ツアーに参加することができた。
Aさんは思う。
「時間をかけて、どれだけ好きかをわかってもらえれば、趣味の休暇でも協力してくれる。もちろん、普段から仕事はちゃんとしていることが条件だけど」
趣味を積極的にオープンにして周囲を巻き込む──実はこの手法、会社を上手に休む“コツ”のひとつなのだ。リクルートの元事業部長で、現在はコンサルティング会社「ACT3」代表取締役の堂薗稚子(どうぞのわかこ)さん(45)は、上司の気持ちをこう代弁する。
「今の時代、上司はすごく部下を気にかけていて、休ませなければと思っています。でも、すべての部下の状況を細かく把握できるわけではないし、そもそも私生活に踏み込む会話はしにくいものです。そんなときに、部下のほうから積極的にプライベートを開示してくれて、休みの必要性を訴えてくれれば、上司もその意をくみ取りやすい。普段から上司が『休ませてあげたくなる』コミュニケーションを心がけることが大切です」