「親といきなり将来の話をするのが現実味を帯びない場合は、過去のエピソードを一緒に語ってみるのもいいと思います。たとえば『昔からお父さんの運転で家族4人で出かけてるけど、前はみんな若かったよね』のように。そうして今の互いへの見方を直接聞いてみたりすると、意外な認識のズレとかそれぞれの思いが発見できたりして、関係の調整ができるのではないでしょうか」

 最後に、親側にも話を聞いた。

 孫がいないのに「おばあちゃん」と呼ばれるようになった前出の母親は、地域に伝わるこんな言葉を引いて教えてくれた。

「子におぶわれるようになっても、子に足元気をつけろって言うのが親なんだ」

 たとえ自分が子どもに面倒を見られる立場になったとしても、子どものことはいつまでも気がかりなのだという。

 話を聞いた誰もが、「普段は口には出さない」と言いながらも、互いへの愛情をにじませていたのが印象的だった。親子の関係に正解などない。だからこそ、納得できる関係性を探す努力を惜しまないようにしたい。

【独身と親がよい関係を築くための5カ条】

1、 お互いによく話をし、認識のズレを修正しておく
  将来の話がしにくければ、過去のエピソードを振り返るところから

2、 つまずいたりぶつかったりすることを恐れない
  時間はたっぷりある

3、 子どもは、親の人生を軸にして、親の視点で考えてみる
  家族の話は子が中心になりがち。対等になって、親の人生のこと、考えたことある?

4、 親は、「子ども」以外の関心や生きがいを持つ
  子を自分の「存在意義」にしてしまうのは危険。パラサイトの原因にも

5、 親という“役割”、子どもという“役割”にとらわれすぎない
  自立した個人として支え合う

AERA 2015年2月16日号

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