「同世代ではもう子どもが生まれている友達が多くて、『じいじ』『ばあば』って呼ぶ人が多いですよね。世代的にはもうそうだよなあって。それで一度ふざけて呼んでみたら、なんか意外としっくりきたんですよね」

 当の両親は、「まだ孫がいないからじじいではない!」とツッコむときもあるが、意外とすんなり受け流すことも多い。

「面と向かって私には言わないけど、孫も欲しいだろうし、じいじ、ばあばって呼ばれたい願望があるのかも」

 と、彼女は分析する。

 一見ふざけているようにも思えるが、孫が生まれるというライフイベントを仮想して、後期の始まり、つまり親の介護の始まりに備えて関係性を移行させようと努力しているようにも読めないだろうか。

 30代の経営者の独身男性は、会社を興し地位が確立したことによって自らに余裕が生まれ、親との関係性が変化したという。

「20代の頃は親と対等にならなくてはという考えに近かった。30代になって経済的にも社会的にも自立し、地位も確立したから、親が喜ぶなら多少依存してもいいかなと思うようになった」

 帰省時に交通費をくれようとするときなどは、ありがたく受け取るという。

 前出の松岡さんが言う。「“30歳成人説”などと言われ、青年のアイデンティティー達成(今後の自身の生き方の選択)のモラトリアム期間が延長していますが、現代では親との関係の発達についてもいわばモラトリアム期間が出現したというふうに考えることもできるでしょう」

●過去のエピソードから

 そのことを肯定的にとらえて、親と子も後期段階に向かって試行錯誤しながらじっくり親子関係を作っていったらいい、と松岡さんは提案する。つまずいたりぶつかり合ったり、混乱したりすることがあっても当たり前、と鷹揚に構えて、互いが納得できる、その親子なりのあり方を作っていけばよいという。

 そのために具体的にはどんなことができるか。

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