これだけは断言できる。女子にとって今、最もNGな言葉は、「子どもは欲しくない」。国も推し進める出産礼賛な空気のなか、そこに疑問を持つだけで肩身が狭い。
猛烈にパソコンのキーボードをたたき、電話をかけまくり、仕事をさばいている時に限って、それはやってくる。
「きゃー、かわいいーーー」
職場の女子が一斉に席を立って、赤ちゃんを連れた同僚を囲む。女性の多い職場の恒例行事、育児休業中の顔見せだ。子どもが好きではないAさん(30)にとっては、つらい時間が始まる。横目で群れの様子をうかがいながら仕事を続け、不信感を持たれないギリギリのタイミングで輪に加わる。できるだけ自然な笑顔をつくらなければ。
「昔から苦手なんです。結婚も出産も人生のプランに入れないと決めてきました。もちろん顔がかわいいと思う子はいますけど、子どもなら誰でも『かわいい』とは思えなくて…」
産後も仕事に復帰できる環境があることも、ワーキングマザーが増えることも素晴らしいことで、否定するつもりはない。でも、そのシステムを維持するための“黄金のルール”が息苦しい。