日本にも定着しつつあるハロウィーンイベント。街にあふれるオレンジ色のカボチャは、今や10月の風物詩だ。なかには、面接までハロウィーン仕様でこなす企業まで現れた。
東京・青山のITベンチャー、スターフェスティバルでは、3年前から、10月31日は仮装して出社することを奨励している。会議、接客から中途採用の面接まで仮装のままやったというから驚きだ。社内コミュニケーションの活性化に一役買っている、と広報担当者は言う。
仮装の猛者たちが集まるのは、日本最大級のハロウィーンイベント、カワサキハロウィンだ。メインのパレードでは2500人もの参加者が思い思いの仮装をし、川崎の街を練り歩く。昨年の観客は11万人。今年は今月26日に開催予定だ。主催するチッタエンタテイメントによれば、パレードは、映画館を運営する同グループが、秋の閑散期に集客を図るため考え出した苦肉の策だった。1997年に始めたときは、参加者は150人だったという。
「今だから言えますが、半分は仕込みでした。社員がいやいや仮装をして参加していたんです」
同社の土岐一利さんが打ち明ける。それが、3、4年目から参加者がみるみる増えた。コスプレ評論家の牛島えっさいさんによれば、これがちょうど第2次コスプレブームの時期と重なるという。
「それまではネガティブなイメージだったコスプレが、2002年頃から受け入れられ始めた。『アキバ』が注目され、コスチュームがドン・キホーテでも売られるようになりました」
牛島さんによれば、本来、日本人は仮装好き。ハレの日に着飾る文化があり、歌舞伎の女形も古くから存在する。そこに新たなハロウィーンというハレの日が加わったというわけだ。
※AERA 2014年10月27日号より抜粋