リクルート出身の若手ベンチャー経営者が増えている。彼らは会社で何を学び、独立したのか。
KAIZEN platform Inc.(以下、カイゼン)社長の須藤憲司も、元リクだ。2003年に入社して在職10年。13年3月に、現在の会社を立ち上げた。独特の社名は「思いつき」だという。
「米国でのビジネスを考えていたので、社名には日本語を入れたかった。でも、出てきた案が“ニンジャ”だの“ゲイシャ”だの……。ましだったのが“カイゼン”でした」(須藤)
カイゼンの主なサービスは、ウェブサイトのユーザーインターフェースを改善するためのプラットフォームの提供だ。例えば、顧客のeコマースサイトのデザインや使い勝手を良くするために支援する。
デザインなどの改善を提案する「グロースハッカー」をクラウド上に約900人確保。豊富な人材で安価に改善案を提供することが話題を集め、設立1年後の14年3月には500万ドルの資金調達に成功した。サービス提供先は世界で600社を超えている。
“改善”のルーツはリクルート時代にある。須藤は振り返る。
「転職の『リクナビネクスト』などを担当し、いかにユーザーに快適にサイトを使ってもらうかを考えていました。だけど、いざお客さまのサイトに移ってからの使い勝手が悪い。サイトを使いやすくしたいという思いがずっとあった」
リクルートにいた10年間で、雑誌の流通や宣伝、地図情報サイトの立ち上げ、オンライン広告など、さまざまな業務を経験。「たらい回しにされただけ」と飄々と話すが、リクルートマーケティングパートナーズでは執行役員も務めた。
「リクルートって“非連続”のキャリアなんです。そこがシリコンバレーと似てる。実際に行ってみた雰囲気が『あっ、リクルートだな』と感じたんです。何度も失敗している人が多いのに、とにかくみんな明るい。失敗を恐れていないんですよね」
(文中敬称略)
※AERA 2014年9月8日号より抜粋