健康食品売り場に出された、青汁製品の回収を呼びかける「お知らせ」(写真:三越提供)
健康食品売り場に出された、青汁製品の回収を呼びかける「お知らせ」(写真:三越提供)
これを見て申し出た人はごくわずかだという(写真:東急百貨店提供)
これを見て申し出た人はごくわずかだという(写真:東急百貨店提供)
「AFCこだわり青汁」のパンフレットには健康志向の消費者に向けたコピーが並ぶ。照射食品反対連絡会所有のものを撮影(撮影/編集部・熊澤志保)
「AFCこだわり青汁」のパンフレットには健康志向の消費者に向けたコピーが並ぶ。照射食品反対連絡会所有のものを撮影(撮影/編集部・熊澤志保)

 原料が放射線照射された健康食品が、都内の大手百貨店で売られていた。米国から輸入された原料は、各地に流通している。私たちは知らぬ間に口にしているかもしれない。

 東京都内の三越と東急百貨店の健康食品売り場で、青汁製品が回収されている。東急の店頭の「お知らせ」には、「商品の原材料の一部に不適切な部分があることが判明いたしました」と、理由が記されている。対象は、エーエフシー社(静岡市)の「AFCこだわり青汁」。

 青汁といえば、いま人気の健康食品。原料がどう「不適切」だったのか、お知らせに具体的な説明はないが、実は、原料の米国産大麦若葉粉末が、「放射線照射食品」だったのだ。

 放射線照射食品といってもピンとこない人が多いだろう。原発事故でやむなく放射能を浴びたのが汚染農産物だが、それとは違い、病原菌を殺したり、発芽組織を破壊したりする狙いで、意図的に食品に放射線を浴びせるのが食品照射だ。

 食品への放射線照射について食品衛生法は、ジャガイモの発芽防止目的を除いて、禁じている。健康によいと信じて「AFCこだわり青汁」を飲んだ人たちは、実は法令違反の食品を連日、口にしていたことになる。回収された商品はごくわずかで、大多数の購入者は照射の事実さえ知らないに違いない。

 GBA社の粉末のほとんどは各地の健康食品会社などに売られており、行政も全体を把握しきれていない。大半はすでに消費されたとみられている。

 ところが、GBA社は間もなく連絡不能になり、5月14日には東京地裁で破産手続きの開始が決まった。このため、保健所の調査は行き詰まっている。

AERA 2014年7月14日号より抜粋