海外の船舶との衝突やウイグル問題の悪化など、国内外での問題が絶えない中国。
特にウイグル問題では、昨年の天安門広場への車両突入に始まり、今年に入って何度も自爆テロや爆発事件が繰り返された。ウイグル族勢力は「聖戦」の決意を固めたようにも見える。
それにしても、どうして中国の内外でこれほど多くの問題が生じるのか。誰もが感じる疑問だろう。中国側から聞こえる声は、常に木で鼻をくくったような「外国が挑発しており、我々は我慢に我慢を重ねている」という言葉ばかり。これではコミュニケーションが成立しない。
中国の対外関係に詳しい松田康博・東京大教授は「中国の主張と現実との間にギャップがあるからです」と指摘する。
「中国が『中国の領土、中国の海』と主張する尖閣諸島、南シナ海、台湾などは、現実には他者の管理下。中国が弱い時代は主張より現実が優先されましたが、強国化した現在は主張を実現させる行動を取り、各国とトラブルが起きるのです」
加えて、一党独裁体制に特有の矛盾もありそうだ。
「自らの主張を教育や宣伝を通じて国民に浸透させ、異論を許さない。国民は自然と政府の主張を信じるようになり、政府も自分の主張に縛られ、柔軟性を失っている」(松田教授)
※AERA 2014年6月9日号より抜粋