日本企業の中国進出ブームに沸いたのも、今や昔。一転しての冷え込みで、日本人が中国から消えていく。

 上海で美容関係の経営やサービスのノウハウを提供するビジネスを手がけていた東京都出身の土山光一さん(38)は、この春、5年近くに及んだ中国生活を切り上げ、日本に戻った。最大の理由は元美容師の妻の反対だ。来る日も来る日も、微小粒子状物質「PM2.5」の濃度を知らせる予報を気にする生活に耐えられない、と言われた。

 上海は水も良くない。季節によっては黄色く濁っていることもある。自宅では飲用水のタンクを購入していたが、「外で食事などをするたびに水のせいで体調が悪くなる」と、もともと神経質なところがある妻はストレスをためていた。

 地元業者との競争も厳しく、想定ほど売り上げが伸びないことも気になった。「切り上げ時かもしれない」。そう判断した。

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