一方、湾岸エリアの物件はオリンピック開催で注目を集めているが、沖氏は過剰供給を懸念している。

「資産価値が上がるには、鉄道の整備が必須ですが、計画は多いものの実現性は不透明です。また、湾岸エリアのタワマン供給予定は既に1万戸を超えています。林立すると眺望が悪くなり、値が下がる要因になります」(沖氏)

●100戸以上の物件を

「物件を買う=アドレスを買う」ことだ。

「1億円超えの物件『億ション』は、港区、渋谷区、千代田区の3区でロケーションのいい場所を選びましょう」(沖氏)

 需要の多いタイプがお勧めだ。5千万~8千万円、70平米ぐらいのファミリー層タイプは需要が落ちにくい。一見、ありきたりに思われる物件のほうが、言い方を換えれば需要が多いということ。もし、地震などの自然災害が気になるという人はタワマンではなく、低層タイプの分譲マンションでも同じ効果が期待できる。

 その場合、戸数の多い物件、できれば100戸以上ある物件を選んだほうがいい。戸数が多いほうが評価額は減る。また、100戸以上の規模があれば、マンションの維持管理などもしっかりしているので、値下がりしにくい傾向があるという。

 せっかく増やした資産を減らすことのないよう、相続対策はできるだけ早い段階から練っておきたい。

■今、タワマンを選ぶ人のための5箇条(東京都)
(注)沖氏の意見を基に編集部作成

1 新築より中古を
資産インフレがはじまった昨年は割安な新築物件があったが、2014年以降はかなり強気な価格設定になっているものも。そういうマンションは中古になったとき、値下がり率が高くなる。中古物件を相場よりも安く購入する方が新築より値下がりの幅が少ないので○

2 値下がりしにくい物件を
値下がりしにくいのは、千代田区、中央区などの都心10区で、環七と荒川の内側のエリア。特に、表参道、代官山、恵比寿、麻布十番などの物件は適正な価格で買えば○。タワマンが値下がりしない理由の一つは「目立つ」こと。エリア内でランドマークタワーになる物件は値下がりしにくい。また、中央区、港区、江東区のタワー物件に限っては眺望条件のいい北向きの住戸なら資産価値は維持されやすい

3 売りやすさにこだわって
買い手が少ないエリアでは売ろうと思ってもなかなか売れない。となると、価格は下がる。売りやすい物件は70平米3LDK。億ションは新築では広範囲で売られているが、中古での取引は、港区、渋谷区、千代田区など5区で8割を占める。地域限定でしか売れないことに注意。ワンルームマンションは値下がり幅が大きく、リスクが高い

4 「~難民」とは無縁の物件を
人口が増える都心に近いエリアは価格が維持される可能性が高い。今は「丘の上よりタワーの上」の方が利便性が高く、人気がある。世の中は、コンパクトシティー、スマートシティーの時代。帰宅難民、買い物難民などから無縁の立地を選びたい

5 できるだけ築15年以内での売却を
マンション設備の更新は15年が目安。築15年で水回りやガスコンロなどに不具合が出てきて、大規模修繕の必要も出てくる。また、購入希望者は築10年以内を望んでいる場合が多い。築5年前後の物件を購入し、5~10年の保有期間で資産を組み替えるのが理想

AERA  2014年4月7日号

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