もし中国が台湾に武力侵攻すれば、米国は台湾を守るために中国と戦うことになるだろう。
現にバイデン氏は、岸田首相との首脳会談後の会見で、中国が台湾に武力侵攻すれば、米国は中国に武力介入すると明言しているのである。
そして、米国が中国と戦うとなれば、当然、同盟国の日本にも参戦を求めるだろう。日本はそれを拒むことはできないはずだ。巻き込まれることになれば、それこそ大変な事態となる。
だから、日本としては何としても中国が台湾に武力侵攻しない方策を構築し、バイデン氏と習氏を説得すべきなのである。
かつての米ソ対立と米中対立はまったく違う。米ソ対立は民主主義と共産主義という、政治体制が異なるゆえの対立であった。だが現在では、米国の経済が悪化し、特に5Gでは中国に劣っていて、米国経済を持続させるために、中国を何とかねじ伏せたいと考えているのだ。
米中対立が激化すれば、間違いなく台湾有事となる。日本としてはそれを起こさせないために、先にも書いたバイデン氏と習氏の対話など、岸田首相が頭をひねるべきである。
両者とも、本音ではそれを望んでいるはずである。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2023年3月3日号