●メディア寵児の花舞台
「原発ゼロで日本の経済は成長できる。今回の都知事選ほど国政を動かすことができる選挙はめったにない」
駆けつけた有権者より報道陣が多かったかもしれない。だが東京都庁舎を背景にテレビ画面に切り取れば、いかにも
「新たな都の顔」だ。「政界再編」「郵政民営化」でメディアの寵児となった両氏の面目躍如だ。
辺りには、日本維新の会の松野頼久・国会議員団幹事長や中川秀直・自民党元幹事長ら知られた顔がちらほら。陣営入りした小沢(一郎氏)系ベテラン秘書は、こう打ち明けた。
「『応援演説したい』という議員や元議員はたくさんいるが、選挙カーに立つのは細川、小泉だけ。どんな団体の支援も受けない、というイメージを徹底させるんだ」
実際は、民主党や生活の党が陰で支援し、国会議員経験者のほか、松野氏や旧日本新党出身の小沢鋭仁・維新の会国対委員長らの秘書が陣営に入る。よく言えば「多士済々」、けなすなら「烏合の衆」なのだ。
●調査では先を行くが
一方の舛添氏は、今のところ各種の情勢調査で細川氏らを引き離す。第一声では、
「史上最高の五輪、世界一の東京を目指す」
と気炎を上げた。だが当初予定された与党幹事長そろい踏みは実現せず、動員も少なかったようで、かなり地味。印象に残ったのは応援弁士による細川氏の1億円借入問題へのネガティブキャンペーンぐらいだった。
直前の19日にあった沖縄県名護市長選で強引に保守一本化したのに、現職に大敗したことも尾を引いている。米軍普天間飛行場の移設が争点になり市民に拒否されたわけだから、政権の面目丸つぶれだが、追い打ちをかけたのが、応援作戦の不発と情報の混乱だ。