「ご乱心」の殿と市民派弁護士の都知事候補一本化はならず、「脱原発」票はさまよう。
かつてのやんちゃな論客も不協和音は絶えないようで。(編集部 本田修一、鈴木 毅)
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脱原発派の一本化は東京都知事選(2月9日投開票)でも実現しなかった。
「まさに苦渋の選択ではございますが、脱原発候補を当選させるためにはこれしか方法はないと考えている」
小泉純一郎元首相(72)の後押しを受けた細川護熙元首相(76)が正式な出馬会見をする2日前の1月20日、脱原発の市民団体「脱原発都知事を実現する会」共同世話人の河合弘之弁護士は、国会内で開いた記者会見で細川氏支持の考えを、さばさばとした表情で語った。細川氏の「脱原発」の意思は電話で確認したという。
昨年末に弁護士の宇都宮健児氏(67)が脱原発などを掲げて立候補表明した際は、脱原発団体の多くが宇都宮氏を支持する方針だった。ところが今月に入って、細川氏が立候補を決断。このグループも「票が割れては原発推進派を利する」と一本化を模索していたが、両陣営に断られ、細川氏を個別に支持することに決めた。ルポライターの鎌田慧氏、作家の瀬戸内寂聴氏、広瀬隆氏、音楽評論家の湯川れい子氏、社会学者の宮台真司氏らが、こうした「苦渋の決断」に同調した。
●苛烈さ増す非難合戦
だが当然同調しない向きもある。共産党は「悪政を強いてきた元首相コンビ」(「しんぶん赤旗」)と、細川=小泉連合を批判。昨夏の参院選比例区で落選者中最多の17万票余を集めたミュージシャン三宅洋平氏も、
「(細川氏には)宇都宮さんと比べて100倍くらいの距離を感じてしまう」
と表明した。