社内での活躍の機会が限られるので、時短勤務にして仕事をほどほどにし、その時間を通信講座の勉強に充てるワーキングマザーもいる(撮影/高井正彦)
社内での活躍の機会が限られるので、時短勤務にして仕事をほどほどにし、その時間を通信講座の勉強に充てるワーキングマザーもいる(撮影/高井正彦)
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 一口にワーキングマザーといっても事情は様々だ。夫のイクメン度、親をどれだけ頼れるか、子どもの体調、子どもの年齢…。自分の能力ややる気とは関係ないいくつもの要素が絡み合い、どこまで働けるか、どこまで働きたいかに差が出る。

 それなのに職場で要求される働き方は、特に管理職を目指そうとすれば、一律に「従来型オジサンモデル」。女性の管理職登用が進まない最大の理由だ。

 地方公務員のミカさん(41)は、管理職登用の条件となる幹部候補試験に30代前半でパスしたが、同期の男性が次々と係長クラスに昇進する中、全く声がかからず、ヒラのままだ。

 6歳の子どもがいる。育休から復帰後、時短勤務なしでフルタイム復帰。子どもは夜7時まで延長保育に預け、忙しい時期には夫にお迎えを頼んで残業することも多い。子育てを理由に比較的定時で帰りやすい部署に異動する人も多いが、ミカさんは多忙だがやりがいもある福祉や予算関係の部署に踏みとどまってきた。そこまでやっても、子どもがいる女性は、「いつ子どもが熱を出して休むかわからないから、昇進は論外」が不文律だ。

 そんな職場で居直る同僚もいる。ある子育て中の女性は、定時になると途中でも仕事を切り上げて帰る。普段から「仕事ができない」という看板を掲げ、難しい仕事は回されないように予防線を張る。ミカさんはこの女性から言われた。

「なんで評価もされないのに、そこまでやるんですか」

 返す言葉がなかった。

 経済産業省で女性活躍推進にかかわる坂本里和・経済社会政策室長は、職場の女性には「2・6・2」の法則があるという。上の2割は自発的にやる気があるバリキャリ層、下の2割はユルく働けばいいと割り切っている人。大半を占める6割は、その中間でどちらにでも転べる人たち。現状はバリキャリ層になるしか、会社で活躍する術がない。そこまではムリと、6割もユル派に組み込まれていく。(文中カタカナ名は仮名)

AERA 2013年12月16日号より抜粋