病院食は冷たい、まずい、というのは、過去のイメージになるかもしれない。最近では食事に力を入れた病院が増えているのだ。

 東京都新宿区にある社会福祉法人聖母会 聖母病院では、毎日3時におやつをのせたワゴンが病室を回る。牛乳やヨーグルト、手作りプリンやゼリー、市販のビスケットなどのほか、週1回は糖尿病患者限定で、カロリーコントロールされたアイスクリームも並ぶ。

「食事制限がある方でも、少しでも選択の自由があるようにそろえています。そのときの気分でおやつを選ぶというささやかな自由ですが、入院生活の中でほっと一息つける時間になればと思っています。毎年クリスマスには、小さなクリスマスケーキを全員に配っています」と管理栄養士の藤田真理子さん。

 長野市のJA長野厚生連 篠ノ井総合病院は、昔から病院食の改善を熱心に行ってきたが、10年ほど前からは糖尿病と腎臓病の患者に向けて、バイキング食の取り組みを行っている。栄養士の石川力さんによると、「食事制限があると『あれもダメ、これもダメ』となりがちですが、その意識を変える試みです。主菜3品副菜3品の中から患者さん自身で食べたいものを選び、栄養士が計算とアドバイスをします。自分の食べる適量がわかり、退院後外食するときにも役立つと好評です」

AERA  2013年12月16日号より抜粋