なかなか改善がみられない日韓関係。しかし両国間の関係には「潜在的時限爆弾」がある。
中国の「戦略的反日」に便乗するように「反日悪罵」を吐いている韓国。歴代大統領は就任当初は未来志向をとなえ、政権末期に反日に走るのが常だった。だが朴槿恵(パククネ)大統領は就任早々から反日全開、米中トップとの首脳会談で日本批判を繰り返し、安倍晋三首相との会談は「過去の歴史解釈が道徳的でない」と拒否し続ける。
「日本を外し、米中双方とうまくやろうとの二股外交が朴政権の戦略だ。米韓軍事同盟を維持し北朝鮮への軍事圧力を強める一方、韓国の最大貿易相手で北朝鮮に影響力を持つ中国との関係深化を狙った。米国で慰安婦問題をカードに日本を叩き、日本の評判が落ちれば日米離間が可能と考えた」(木村幹・神戸大学大学院教授=韓国政治)
が、海洋覇権をめぐる米中対立が容易に解けるはずもなく、オバマ政権が日本の集団的自衛権行使検討を歓迎したことに韓国は大ショック、韓国メディアも「日韓首脳が会わないのは異常」と主張をやや転換した。
日韓の「潜在的時限爆弾」が「2015年問題」だ。国交正常化(1965)50周年の年に、外交関係の礎である日韓基本条約と請求権協定が破綻するのではないかというのだ。
植民地時代の請求権は、日本が韓国政府に巨額の賠償金を払うことで決着。協定に「完全かつ最終的に解決された」と明記され、個人補償分もそれに含まれた。だが韓国側が条約見直し要求の動きを見せつつある。
「日本企業に戦前徴用された韓国人の賠償請求訴訟の大法院(韓国の最高裁)判決が近く予想されるが、原告勝訴の可能性が高い。そうなれば、個人補償は解決ずみとの協定が崩れかねない。条約見直し要求がメディアで高まれば韓国政府も対応を迫られる。日本政府は応じまいが、関係は一層悪化する」(浅羽祐樹・山口県立大学准教授)
※AERA 2013年11月11日号より抜粋