2016年10月末に韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領をめぐる疑惑が表面化すると、国民の怒りは爆発。毎週末、大統領の退陣を求める集会が開かれた。ついに国民は韓国の国会を動かし、大統領の職務を停止させた。今後、朴大統領の進退はどうなるの? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞国際報道部・金順姫さんの解説を紹介しよう。
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韓国の朴槿恵大統領が任期の途中で辞めさせられるかもしれない。大統領を辞めさせる法的なしくみである「弾劾」に向けた手続きが進んでいるからだ。朴氏の大統領としての権限が2016年12月9日に停止され、黄教安(ファン・ギョアン)首相が代わりに職務を担っている。韓国で何が起きているのか。
韓国の検察は16年11月、ある女性と大統領府の前秘書官2人を起訴した。財閥企業に財団を作るためのお金を出すように強要したり、大統領府の文書を流出させたりしたことが、職権乱用の罪などに問われた。
被告となった女性の名はチェ・スンシル。朴氏の長年の友人だ。朴氏の母親の陸英修(ユク・ヨンス)氏が1974年、父親の朴正熙大統領を狙った銃撃事件の犠牲になった。悲しみに包まれていた朴氏に接近したのが、チェ被告の父親で新興宗教の開祖だった崔太敏(チェ・テミン)氏。その後、崔氏親子は朴氏を支えたとされる。
このチェ被告に、朴氏が機密文書を渡していたという。何の公的な権限もない民間人のチェ被告に、大統領が操られていたのではないかという疑惑が持ち上がり、国民の間で猛反発が起きた。
チェ被告の娘をめぐっては、高校で虚偽の公文書を使って出欠をごまかしたり、名門の梨花(イファ)女子大学に不正入学していたりしたという調査結果も明らかになった。学歴社会で、厳しい受験戦争にさらされている韓国の若者たちの怒りはさらに激しくなった。
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