(1)母と息子の関係に変化 
(2)兄妹、姉弟の関係に変化 
(3)親友関係に変化
(4)マスコット的関係に変化(赤ちゃんのようにかわいがる) 
(5)嫌いになった

 5番目をのぞいて夫婦仲は決して悪くはないが、妻を性的な対象として見られない点は共通している。このうちもっとも多いのは(1)で、夫婦関係が母子関係を呈してしまうケースだという。

「必ずしも妻が年上とは限りません。妻のキャラクターが母親的であったり、夫が妻に依存的だったりする関係性のことを指します。通常、男性は母親の裸など見たくもなければ、セックスしたいとも思わない。母親のような存在の妻が近づいてくると『近親姦』のイメージがわき、恐怖心を抱いてしまうのです」

 性嫌悪症は非常に治療が難しい。阿部氏の患者のうち、妻とのセックスが回復するケースはおよそ3割。それも1~2年の歳月を要する。あとの3割は離婚し、残りは治療からドロップアウトして予後が不明だ。

「男性のプライドからか、治療に積極的になれない人は多い。まずは感覚集中訓練といって、妻との性行為をイメージしたマスターベーションを勧めます。うまくいったら、服を着たまま肩を寄せ合うなどのスキンシップを図り、徐々に性的な接触に進みます。しかし、すでに異性として見られなくなったカップルには、抗うつ剤などの薬物を併用します。セックスに対する恐怖心を取り除くのです」

AERA 2013年8月26日号

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