近年、セックスレスの夫婦が増えている。ある調査では約4割の夫婦がセックスレスの範疇にあるというデータも出ている。
セックスレスの原因を男女別に見ると、男性側にある場合が多いという。精神科医の阿部輝夫氏(あべメンタルクリニック院長)は、セックス・セラピーの第一人者だ。開業して以来、多くのセックスレスカップルの治療にあたっている。阿部氏のもとを訪れる男女は、2対1の割合で男性側にセックスレスの原因がある。
「もっとも多いのが『性嫌悪症』。性的な接触や性的なムードを極端に嫌って避けようとする症状です。かつては女性特有といってもいい疾患でしたが、10年ほど前から男性のほうが多くなってきました。妻に触れられただけで払いのけてしまうなど、深刻なケースもあります」
ここだけを聞くと、よほど性欲がないんだな…と思わせられるが、実態はもっと複雑だ。男性の性嫌悪症の98%が、セックスできないのは“妻とだけ”で、性欲自体は正常。マスターベーションや浮気はできるというのだから見過ごせない。
「女性からしたら、『なぜ私とだけできないの?』と問いただしたくもなるでしょう。しかし、原因は婚姻生活で2人の関係性が変化してきたためで、夫だけを責めても始まりません」
阿部氏によると、男性が性嫌悪症に陥る夫婦関係には、次の5パターンがあるという。