親川志奈子さん多くの攻撃を受けながらもブログで発信し続ける。「取材を受けても東京では違う形に『翻訳』される。自分の言葉で発信したいんです」(撮影/編集部・深澤友紀)
親川志奈子さん
多くの攻撃を受けながらもブログで発信し続ける。「取材を受けても東京では違う形に『翻訳』される。自分の言葉で発信したいんです」(撮影/編集部・深澤友紀)
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「差別」「植民地」。本土への不信が強まる沖縄で頻繁に聞かれる言葉だ。そしてついに「独立」も語られ始めた。今年5月には、独立への思いを共有する大学教授や大学院生ら5人が「琉球民族独立総合研究学会」を設立。独立ができるかどうかを議論する場ではなく、独立する前提で研究を進めるという。

 設立委員の一人、親川(おやかわ)志奈子(32)は大学院の博士課程で「危機言語」の継承教育を研究する。もともと英語教育を専攻していたが、留学先のハワイで母語の復興や主権問題に取り組む先住民族と出会い、シマクトゥバ(島言葉)も話せないのに英語を学ぶ自分に違和感を覚えた。

 沖縄では島々や集落に独自の言葉があるが、戦前から60年代にかけて学校で日本語が励行され、いずれも消滅の危機にある。親川は昨年、国連人権理事会の下部組織の会議で、そうした現状を訴えた。

「琉球諸語は日米政府によってかき消された。独立して琉球の言葉と未来を取り戻したい」

 この学会設立に反応したのが中国だ。中国共産党の機関紙、人民日報が「琉球(沖縄)の帰属が未解決」と主張する論文を載せ、系列の環球時報が社説で学会への支持を呼びかけたため、日本でも警戒感が広がった。だが学会側は、「中国とのつながりは全くない」と断言する。

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