高度経済成長やバブル景気を経験してきた「アラウンド50」世代と、物心ついたときから不況しか知らない「アラウンド25」世代。そこには、働き方の意識に大きな違いがある。

 製薬会社でマネジメント職として働く男性(51)は、同世代の数の違いが意識の違いにつながっていると感じている。

 男性の同期は120人。少し下のバブル期入社組は200人もいた。競争相手が多い分、必死にやらなければ生き残れないという意識があった。研究職だった男性は、新人時代、徹夜で実験を繰り返し、休日出勤で実験用の動物の面倒もみた。

 一方、いまの若手は帰宅が早い。不況の影響や労働基準法順守のため、会社がノー残業を推進するせいもあり、新人も夕方6時になれば帰り支度。

 ある30代前半の社員は、会議で仕事の遅れを指摘されると、

「僕の責任です」

 と涙を流した。男性は「弱みを見せる基準」が、自分とは随分違うと感じる。いまの若手は同期が少ないせいか、会社でのポジションを失うという危機感が薄いのかもと思う。

 リクルートキャリアで若者の面接相談などをする細井智彦さん(52)は、「選択」への意識の違いがあると話す。

「今ほど豊かでなかった時代に育った50歳世代は、まずは選ぶより与えられた環境で成果を上げようとするが、生まれた時から情報やモノがあふれている25歳世代は、先に自分で選択しようとする。就職活動でも自己分析に慣れているため、自分の適性を探すことに必死になる」

 だが若者も、そんなに選びたいわけではない。

 今年、『置かれた場所で咲きなさい』という本が80万部のベストセラーになった。幻冬舎の担当編集者によれば、人気を牽引したのは20代。この世代からは「現状でも頑張れば好転すると、実は言ってほしかった」という感想が多いという。

AERA 2012年12月24日号